『英語長文 Rise 4』

この長文問題のRiseというシリーズ、

レベル1~4まであります。

全巻、著者は異なります。

 

私は自分の授業でレベル4を使っていますが、

正直、Riseのレベル4は、解答解説が間違っていることが多いです。

講によっては致命的な間違いもあります。

 

というわけで、どこが違うか、まとめていきます。

老舗のZ会出版ですが、

私判断で生徒には以下のように伝えてしまっています。

 

〈第1講〉

 ・rirualの訳出が統一されていない。

  この文で使われている意味は「儀式」ではなく「習慣」。

  語句リストでrirualに「習慣」という意味があることを載せているけど、

  全文和訳では「儀式」になっている。

  語句リストに「習慣」を載せた意味があまりない気がする・・・。

 ・下線部和訳

  解説の11ページ(設問で言うと問1)。

  ★「which は It turns out から good for us までの内容を受け」

  正しくは、「self-discipline is usually insufficient」を受けています。

  非制限用法の which は、前文の全部、前文の一部、前文の単語のどれかを指します

  が、基本的には訳で判断します。

  P.S. 前文の全部、前文の一部を指す場合は単数扱い、前文の単語を指す場

  合は、先行詞の単複に合わせます。

 

〈第2講〉

 特に問題なし。

 

〈第3講〉

 この講に関しては、和訳が変ということと、答えが一カ所間違っています。

 (解説が間違っているのもありますが、解答が違っています。第1講は解説は間違って

 いましたが、解答はあっています)

 (1) 和訳が変(解答のP29)

   文章構造は問題ないのですが、日本語訳をもう少し府工夫したほうが良いかと思

   います。

   以下の和訳、一読して頭に入ってきますでしょうか(太字の箇所)。

    ホモサピエンスがおよそ10万年前に登場する400万年~600万年前に

   原文は以下になります。

    from four to six million years before home sapiens, ~ a hundred thousand

    years ago.

   下線部の400万年前~600万年前というのは、before以下を修飾しています。

   (文法的には、「程度」を表すものは修飾語句の前に置く、というものです。

   He is three years younger than his brother. と同じ理屈です) 

   →和訳が少し読みにくいので、ホモサピエンスがおよそ10万年前に登場する

    よりもさらに400万年~600万年前に、にしたほうがスッキリします。

 

 (2)答えが間違っている(解説P26)

  大問5。答えは エ になっていますが、私判断で ア にしました。

  次の文(太字にしてあるところ)と同じ意味になるものを選択。

   If walking set the common ~.

  長ったらしいですが、結局のところ、先頭の If がこの文脈ではどのような意味で使

  われているか、という問題です。

  答えは対照を表すwhile(~の一方で)が正解になっていますが、該当箇所の和訳で

  は(解説のP29)、「とすれば」になっています(解答解説のページでの和訳と全文和

  訳のページの和訳が一致していないことにも問題がありますが)。

  私が正解にした選択肢は in case(~の場合には)ですが、in case には以下の2パター

  ンがあります。

    I bought a lot of drinks in case the shops are closed.

     店が閉まっているかもしれないことに備えて、たくさん飲み物を買っておい

     た。

    In case she doesn’t reply to your text, just call her.

     もしも彼女があなたのメッセージに返信しない場合は、彼女に電話してくだ

     さい。

   2つのうち、in case を if に変えても意味が通る方があります。

   そう、下の文です。下の文は in case を if に変えても意味が通ります。

   ものによっては、in case と if は互換性があります。

   なので、この問題でも if と in case にしても差し支えありません。

 

   この設問、私判断で正解をアにしました。

 

〈第4講〉

 ・解答解説のP37。本文でいうと4段落目になります。

  ~, why should the rest of us care? :なぜ他の残りの私たちは、気にすべきなのか?

 →ちなみに、気にするというのは、「言語の多様性を気にする」という意味です。

 

 答えには、「する必要などない」修辞的反語表現と書かれていますが、

 反語ではありません。文字通りの純粋な疑問文です。

 

 反語とは、「Who knows that?→誰が知っているだろうか。誰も知らない」といった

 ような、質問を投げかけけているように見えて、その問いを発している人の中では

 既に答えが決まっているような修辞方法を指します。

 その一文が反語かどうかを判別するには、

 文脈もそうですが、「その質問に対する答えがなければ反語」という形式的なところ

 で判別する方法もあります。

 

 中学生の問題で、Who can play tennis well ?  という質問に対して、

 Tom can. とあれば、「誰が上手にテニスができますか」「トムができます」という

 会話になります。もし Tom can. がなければ、表面の日本語は「誰が上手にテニスが

 できますか」ですが、本当の意味は「だれもできない」になります。

 反語は発している人の答えが既に決まっているので、

 返答がなくても意味が成り立つためです。

 

 本文を読んでみると、同4段落の一番最後に、「 language diversity is as important as

 biological diversity(言語の多様性は生物学的な多様性と同じくらい大切だ)」と書かれ

 ています。言語は大切なものなのです。大切だから気にするべきだという因果関係で

 結べます。なので、気にすべきではないという反語での解釈は、私は間違いだとみな

 します。(一般常識をあまり多用するのはNGですが、言語の多様性が必要ないという

 主張は常識的にないかと思います)

 

・解答解説のP36。

 ceremonial :儀式用の、儀式に使う

 →和訳には「儀式用の言語」とありますが、正しくは「公式の、正式の」になりま

  す。ceremonialには「公式の、正式の」の意味もありますので、こっちです。

 「儀式用の言語」ではなくて、「公式の言語(つまりはofficial language)」。

 

〈第5講〉

 1か所、和訳が決定的に間違っています(「決定的に」というのは、文意が真逆になる

 くらいという意味です)

 

 2段落中盤

  How many people can simply enjoy a fine piece of ~

   どれだけ多くの人が~単純に楽しめることか

  How many people can enjoy an unusually warm~

   どれほど多くの人が~一日を楽しめることか

 

  語尾の3文字が決定的に合うとになります。

  「ことか」と「だろうか」にすると問題ありません。

  たった3文字だけだけど、その3文字が大きなインパクトを持ちます。

 

  「どれだけ多くのひとが~なことか」は、感嘆文の訳です。

  

  で、もしかしたらこの訳に、修辞疑問文ではないかと思った人もいるかもしれませ

  んが、修辞疑問ではありません。

 

  修辞疑問文とは以下のようなものです。

   Who knows? →誰が知っているだろうか。いや誰も知らない。

   Who doesn't know?→誰が知らないことがあるだろうか。いや、皆知っている。

  

  表面に書かれているものを打ち消す形で真意を伝える技法の事です。

  必ず反語の形にします。なので、本文を修辞疑問で解釈するなら、

  真意は cannnot enjoy になるはずで、「楽しめることか」と肯定で

  押しているのは無理があります。

 

  私はこれ、修辞疑問文の通り、「誰も楽しんでいない」という意味だと考えます。

  (解答に書かれていることと真逆ですが)

 

  というか、解答の該当の段落の和訳を読んでいても、残りの文章と言っていること

  が噛み合わないので、私の解釈の方が整合性があるはずです。

 

〈第6講~第12講〉

  特に問題なし。

 

<第13講>

  1か所あります。

  P108の真ん中あたりの文構造を図示したところになります。

   a general laws, perhaps supplemented by other laws and/or particular facts, 

   all of which must be true.

   →② all of which は general laws と other laws and/or particular facts を先行詞

    とし、「そういった法則も事実もみな・・・」という補足説明をしている。

  

   これ、NGです。

   perhaps supplemented ~ factsは a general lawsを修飾しています(このことは筆

   者も認めています)。

   a general laws, perhaps supplemented ~ は、カンマを省いて関係代名詞に変換し

   て考えてみると、

   a general lwas (which was perhaps supplemented ~ facts) と同じになります。 

   解説だと、「all of which は general laws と other laws and/or particular facts を

   先行詞とし」とありますが、結局のところ、「関係代名詞の内部と先行詞(→ここ

   での先行詞とは、斜体にした a general lawsのこと)を同時に指す」といっている

   のと同じです。

 

   で、関係代名詞の内部と先行詞を同時に指す英文など、見たことないはずです。

   そんなもの、ありません。

   というわけで、all of which は、a general laws だけを指します。

 

<14講>

  些細な個所ですが、1か所だけ修正したい点があります。

  

  解答のP120

   上から4行目の「商品やサービス」。

   元の英語はgoods and services です。経済・金融の文脈になります。

   goodsは経済学の中では「財」になります。

   単語の注釈にも、「consumer goods:消費財」とあるので、

   和訳の方も「財」の方が適していると考えます。

   実体経済という言葉こそ出てきていませんが、

   内容的には、「金融経済が実体経済に取って代わった」という内容です。

 

 <第15講>

   特に問題ありません。

 

これにて一旦、修正を終わりにしたいと思います。

ご一読いただき、ありがとうございました。

 

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