学年が下の生徒が2級を受験するということが結構あります。
特に私のところですと、中3生、高1生で英検2級を取得したいと希望するケースが多々あります。
(←中3生というのは中高一貫性の生徒です。高校受験を控えている中3生は、「他科目もあるので英検2級は高校に入ってから」というスタンスになります)
というわけで、学年が下の生徒が英検2級を取得するには何をやればいいか、
まとめてみました。
←具体的な文法単元などの細かい話になります。
←生徒目線ではなく、教える側目線でまとめました。
①単語・熟語
言わずもがな。有名どころの単語帳なら、パス単かと思います。
★ただ、一定以上の偏差値の中高一貫中3生や高1生なら、
学校でターゲット1900などのそれなりの大学受験の単語帳を持たされていて、
毎週単語テスト的なことをやらされているはずです。
大学受験用の単語帳と英検2級なら被る部分が大きくあるので、
パス単を持たせてもいいですが、学校の単語テストにきちんと取り組ませても
効果は同じになるかと思います。
★学校の毎週の小テストの点数を把握するのことが管理する側にとって負担なら、
例えば東進やマナビスの場合、高速マスターがあるのでそれを活用すれば管理しやすいはずです。
東進から共通テスト英単語が出ていますが(東進Web書店 東進ブックス: 共通テスト対応英単語 1800 (toshin.com))、この単語帳とパス単2級の巻末で収録単語を比較すれば、結構な割合で重複するはずです。もしかしたら、東進の単語帳の方が収録語数が多いかも。なので、高速マスターの単語と熟語を修得すれば全く問題ないかと思います。
②文法
下級生にとって、多分これが一番ネックになる気がします。
学校よりも先取りで進めさせることになることが出てきますが、
その際、2級の長文を読む上で絶対に外せない文法事項は、分詞構文と関係詞の2つになります←私の判断が入りますが。
この2つの文法事項は英語と日本語の構造的なところに関わり、訳し方や修飾の仕方が日本語と真逆です。
なので、単語を覚えても日本語にできない、といった場合の代表格が
この2つの文法単元になります。
ちょっと抽象的なので、具体的に何を抑えておくべきか、例文を使って示してみます。
(1)分詞構文
学校文法などでは、接続詞を消す→主節と従属節の主語が同じなら、従属節の主語を消す、などの手順で教えられるはずですが、英検2級の長文で必要な分詞構文は、
とりあえず、「~, ing・・」になります。
・He was cleaning his room, singing a song. (彼は歌を歌いながら部屋を掃除していた)
・I left Nagano at 7, arriving Tokyo at 9:00. (私は7時に長野を出発し、そして9時に東京に着いた)
「~, ing・・」→訳し方が「・・ingしながら~だ」と「~だ。そして(その結果)、ing・・」だの2通りがありますが、訳し方の順番が正反対です。
どちらの訳になるかは両方とも試すしかなく、文脈判断になります。
(どちらでも意味が通る場合は、深追いせずに好きな方で訳してください)
さらっと読み流すと時系列が真逆になってイミフになりやすいです。
英文の中で出てきたら、慣れるまでは立ち止まって、大げさなまでに日本語に訳す練習をしましょう。
(2)関係詞
蛇足ですが、学校の定期試験などで「関係詞入れなさい」という問題が出された場合、関係代名詞を入れるのか、関係副詞を入れるのかは、「自分で判断してね」という意味になります。
で、英検2級で必須の関係詞以下のようになります。
・【関係副詞=前置詞+関係代名詞】
関係副詞:where,when,why, how
関係代名詞:which, who
私が住んでいる家→the house which I live in
=the house in which I live
=the house where I live
*上記のことは全てそのまま覚えてしまいましょう。
・【非制限用法】
〈, which〉→カンマが付くだけで、先行詞の可能性が3種類に増えます。
訳し方の順番が、日本語と同じように左から右に訳していきます。
・ He said nothing which made her angry.
彼は彼女を怒らせることは何も言わなかった。
→カンマがないので通常の訳し方。後ろから前に訳す。
He said nothing, which made her angry.
彼は何も言わなかったが、そのことが彼女を怒らせた(何も言わなかったことが彼女を怒らせた)。
→カンマがあるだけで、意味が真逆になります。
このパターンのことを、「前文の全てを指す」といいます。
He said he wasn't afraid of ghosts, which was a lie.
彼はお化けが怖くないと言ったが、それは嘘だった(お化けが怖い)。
このパターンのことを、「前文の一部を指す」といいます。
He gave me the book, which was interesting.
彼は私にその書籍をくれたが、それは面白かった(書籍はおもしろかった)。
このパターンのことを、「前文の単語を指す」といいます。
*He gave me the boos, which were interesting.
単語が複数形なら、複数形に呼応する形にします(were)。
*「前文の全てを指す」、「前文の一部を指す」場合には必ず単数扱い、
「前文の単語を指す」場合には、その単語の単複で呼応する形を決めます。
単数形で受けている場合、先行詞が上記の3つのうち、どれであるかは
文脈判断になります。3つとも全て入れてみて判断するしかありません。
この〈, which〉が一番のネックになるはずです。
〈, who〉〈, when〉〈, where〉は正直楽です。
機械的に、「そしてその人が」「そしてその時に」「そしてその場所で」という日本語を入れ、左から右に訳していけば、問題なく意味が取れます。
「分詞構文」「前置詞+関係代名詞」「〈, which〉」あたりは、
ドリル演習を繰り返してパターンを定着させるのは前提として、実際の英検の過去問をやり、復習する時にこの3つのどれかが含まれている文を、和訳するなどしてみることを推奨します。
問題集などの例文は短めの1文であることが多いのに対し、実際の長文の1文の長さが2行くらいあるケースが多いので、反復練習で型を定着させたら、実際の過去問の長文を使ってみるといいかと思います。
←繰り返しますが、問題集などの短めの例文で訳す順番などの手順をマスターしておくことは前提になります。
←訳す手順を反復して身に付けておけば、実際の過去問で練習する時には、
和訳を見ればなぜこのような日本語になっているかが自力で理解できる確率が高まります。
←つまり、どこをポイントにこのような和訳になっているか、自力でそのツボに気が付きやすくなります。
結構細かい記載になりましたが、復習する時に生徒がどうやったら自力でポイントに気が付くか。
この3つの文法を定着してもらえれば、ある程度、学習の進め方を生徒主体にさせることができるようになるかと思います。