生徒とやりとりしていると、
英文を読むスピードや内容把握の精度を向上させるには参考書に書いてあるような解説
も大切ですが、英語学習に対する認識を変えてもらうと大幅に向上するケースもありま
す。
あえて世間の風潮に異を唱えてみます。
←マジです。
・4技能をバランスよく測ることは良いことか
正直、ある一定レベルまでは足並み揃えて測ることはできても、
より深化したレベルにおいては、バランスは崩れると思っています。
野球選手、陸上選手、サッカー選手を思い浮かべてみてください。
同じ練習メニューはさせないはずです。野球選手にサッカーをさせてうまく機能する
とは思えないです。4技能も同じで、基礎トレにはなったとしても、最後は自分の業
務の必要性に応じて、力の入れ方は変わってくるのではないでしょうか。
・訳せても意味が取れない
この質問、結構大切だと思います。
英語を読むには2段階の作業が必要です。
1:字面をきちんと訳せるか
2:字面の概念を理解できるか
1のほうは言わずもがなです。1ができないとそもそも日本語に変換できていないの
で、文章の意味内容を熟考する以前の問題です。
で、壁があるのは圧倒的に2の方かなと。
日本語で考えてみてください。
例えば、コロナに関するニュースの場面を想定してみましょう。
「コロナニュースで、オーバーシュートって単語をよく聞くけど、何のこと?」
→「感染が爆発的に増えることだよ」
→このやり取りは、オーバーシュートを「感染の爆発的増加」と置き換えただけなの
で、1にあたります。
このくらいの例文なら、1の作業だけで事足りるかもしれませんが、
どんな文章が来ても確実に意味を取りたい場合、さらに2の作業を踏まえる必要が
あります。
「爆発的増加って何?抽象的でピンとこない」
→「患者の数が2日くらいで2倍になることだよ」
→この段階が2にあたります。
英語を日本語に直したときに、文字レベルだけではなく、このように具体的な事象
までキャッチする習慣がある生徒だと、飛躍的に読解力が上がります。
言語間の翻訳は、「書かれていることを正確に訳すこと」と言われますが、
2のステップのように概念レベルでの置き換えが発生します。必ずです。
日本語に訳せてもイマイチ意味がピンとこない場合、
概念レベルでの変換がうまくいっていないのかもしれません。
訳し方や構文の取り方はいわゆる文法の授業で散々やりますが、
概念レベルでの変換は、あまり意識的に行っていない、あるいは、解説の際に言及し
ていない、ということが多々ある。だからこそ、もやもや感が拭えないのだと思いま
す。
「4技能は善だ」というように、何かを金科玉条的に絶対視するあまり、
そこから外れる学習法や成績の伸び方をすることに不安を持つ生徒がいますが、
私はそのような生徒をあえて、全面的に肯定しています。
そちらの方が絶対に伸びます。
4技能だとか速読だとかがもてはやされる風潮にありますが、
巷で流布されている学習法はどれも根拠ないですし、実際にそれで成績が向上している
生徒はいません。
だからこそ、私は英語の学習法を、先人の知恵(いわゆる先行研究)に拠りたいと思うの
です。
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