単語・熟語・文法を覚えても英文が読めないと感じる人へ②

これ、シリーズにしてもいいかもしれません(笑)。

 

突然ですが、次の空所に入るのは選択肢のうちでどれでしょうか。

(出典:2006年の東大)

 

Naturally, I had never met him in my life, (       ).

 ア:nor he me

 イ:nor did he

 ウ:neither did I

 エ:neither had I

日本語の意味は、「私は彼に会ったことはないし、彼も私に会ったことがない」

くらいかなと見当はつきます。

ウとエは、「私は彼に会ったことはないし、私もない」となり、意味の面で不可です。

答えはアで。イではないです。なぜなら、時制がdidではなくhadだから。

でも、イではなくてもアである積極的な理由が見つからない限り、

イにしてしまう可能性が高いです。実際にイにした人が多かったらしいです。

 

ある意味では神経が図太い方が正解します。

 

ちなみに、アは、「nor had he met me」の省略です。

赤本や市販の参考書を読んでも、

「省略に気が付けるかどうか」とか、「発想力がどうたらこうたら」などと書いている

くらいで、それ以上のことは書いていないことが多いです。

 

受験生の時は「自分もそのステージに行かなければ」と解説に書いていることを

真に受けていましたが、

翻訳会社に入って改めて勉強するようになって、「気が付く・発想力」と「思い付き」

紙一重なのでは、と認識するに至りました。

「気が付けるかどうか」は大切ですが、どうやったら気が付けるかという術が

全く書かれておらず、受験時代に途方に暮れていたのは当然だという結論になりまし

た。

 

もちろん、翻訳をやっていて、前提となるバックグラウンドを知っているかどうかは

翻訳者次第というところもあります。けれど、全てを発想力という一言で片づけると、

その発想が合っているかどうか担保はどうやって確保すればいいのでしょうか

また、その文法や構造にに気が付くかどうかは、その時次第の運ゲーなのでしょうか。

 

知っているかどうかはもちろんコントロールしにくい部分はありますが、

東大のこの問題に関しては、絶対にコントロールできます。

 

選択肢のアがどうして違和感があるかと言えば、動詞がないし、代名詞が連続している

から、だと思います。

 

「単語・熟語・文法を覚えても英文が読めないと感じる人へ」で書いた通り、

ある程度、可能性のある文法事項を絞っておくべきです

 

語順がイレギュラーな文法事項と言えば、

 ①倒置

 ②省略

 ③修飾先が離れている

この3つだと思います(それ以外にあったら教えてください。私がパッと思いつくのは

これくらい)。

で、3つという枠組みが固まったら、あとは全部試してみればいいのです。

(人によっては、「試すしかない」と捉える人もいますが)

 ①倒置

  この3語をどういう順番にしても意味的にも構造的にも通りそうな組み合わせは

  ありません。ということは、倒置ではなさそうです。

 ③修飾先が離れている

  関係詞によくあるパターンです。

  大学受験的に有名な例文に、

  「The day will come when my dream will come true.」というのがありますが、

  これのことです。when 以下の関係副詞は、主語のthe dayを修飾しているもので

  す。

  で、東大の問題に話を戻しますと、選択肢自体が一文として完成していますので、

  修飾先の問題でもなさそうです。

 

 となると、残りは②の省略。で、省略は前提として、元に復元できるから省略でき

 るというのがあります。元に戻せないのなら省略したら読み手に伝わらなくなりま

 す。省略は元に戻せますし、元に戻すにはあまりに遠いところから引っ張ってくる

 必要があると気が付かなくなります。それゆえ、近場のものを省略します。

 

 ここまで踏まえて初めて、先ほどの東大の問題は省略がポイントなのではと

 アタりをつけることができるのではないでしょうか。

 そして実際に、省略されている箇所を復元して、

 「nor had he met me」という元の英文にたどり着くのではないでしょうか。

 

 数多くある文法の中からピンポイントで省略と気が付くかどうかは、

 ただでさえ至難な業なのに、ましてや受験生にとってはえげつないこと上ないはず

 です。

 

 私は初めて見る英文をきちんとコントロールするには、発想力などという抽象的な

 言い回しではなく、あくまでも正攻法で真正面から学習するに限ると思っています。

 

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