全部を信じてはいけない本ですが、
一定の功績は認めるつもりです。
(後述しますが、全てを信じてしまうには危ない書籍です)
第3章の『経済がわからない言論人たち』の章は
あまりメディアが突っ込まない内容になっています。
日本で経済を語る言論人たちは、総じてマルクス主義者が多いです。
1960年代、大学で教えられる経済はマルクス経済学だったので、
その亡霊が日本の言論界にはびこっている、といった感じです。
それゆえ、資本主義を否定します。
ただし、マルクス経済学を信奉する人たちは、
社会主義がうまくいかずに崩壊した事実をどのように眺めているのでしょうか。
「社会主義はうまくいかなかったが、資本主義が行き詰まりを見えている以上、
見習う点もある」という論調も同じです。崩壊したシステムに見習う点などあるのでし
ょうか。
で、話をこの書籍に戻しますと、
経済学を数値や統計で語らず、観念論や哲学で語るマルクス主義に浸かっている言論人
この2人を批判する記事はほとんど見ません。
常々私は、日本の経済学に対する認識はズレていると感じており、
資本主義や経済成長を否定するのは、経済が傾いても痛みを感じない安全地帯にいる人
たちだけです。
資本主義を否定したところで代替のシステムが今のところ存在しないので、
資本主義を否定するよりは、気長に付き合っていくしかないはずです。
池上彰や佐藤優が統計や数学を駆使して経済を語っているところを見たことがないと
感じていました。そして、この両者に反論する記事も始めてみました。
その意味で、私はこの書籍を評価したいと思います。
ただし、第4章の「MMTとおかしな経済理論」は読まなくていいです。
この著者、デフレを悪とはみなしていないですし、リフレ派を危ないとまで言っていま
す。
デフレは底なし沼のようにスパイラルに陥る危険性がありますし、リフレ派は諸外国で
はスタンダードな上、アベノミクスで経済が上向いたのを見れば、危ないどころが普通
だと感じるはずです。
というわけで、この書籍、第3章だけ読むのなら、一定の意義があるかと思っていま
す(繰り返しますが、第4章は読まない方がよいです)。
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