『自由と成長の経済学』

日本では「脱経済成長」やら「反資本主義」が知性の象徴みたいな空気がありますが、

いかにトンチンカンな言説か、論拠を持って反論を試みている書籍です。

私はこういうのを待っていました。

 

①脱成長&反資本主義

 GDPが毎年一定なら、自分が利益を出したら、誰かが損失を出しています。

 いわゆるゼロサムゲームみたいな世界です。

 成長しているからこそ、自分が利益を出しても、相手に損失を与えずに済む。

 脱経済成長論者は、このことを認識しているのでしょうか。

②環境問題

 脱成長論者は1970年代~1980年代の暮らしを理想とし、慎ましい生活をすべきだとす

 るが、いかにアホらしいことか。また、環境問題を解決するにも、資本主義を脱する

 必要があると。

 1970年代は日本では公害に苦しんでいた時代です。その時代に時計の針を戻せと言う

 のでしょうか。あるいは、自動車会社の技術革新で燃費の良い製品が登場している

 が、そのことはむしろ環境問題には良いことではないのか。

 燃費の悪い車が排気ガスを大量に出していた時代に戻ることが環境問題解決への

 方策なのだろうか。事実を全く見ていないとしかいいようがない。

③格差

 格差は広がっているように見えるが、成長のスピードに違いが生じていて、

 格差が広がっているように見えるだけ。絶対値としては途上国も成長している。

 成長を否定するのではなく、成長のスピードが低い国に支援するなどして、成長のス

 ピードを上げる方が方法としてはいい。

社会主義共産主義

 社会主義共産主義を標榜している国は、北朝鮮ベラルーシソ連のような独裁体

 制。そのような国には政治的な自由も学問的な自由もない。

 そもそも、反資本主義の内容を世間に発表できるのも、資本主義の国にいるからであ

 ることを、反資本主義の論陣を張る人たちはわかっていない。

 資本主義を取っている日本で反資本主義の論陣をはるのはいわゆる反体制ということ

 になり、北朝鮮ソ連では、そのような分子は粛清される。そのことにどこまで認識

 が及んでいるか。

 

ざっとダイジェストしてみました。本当にその通りだと思います。

ご自身は1970年代の暮らしをすることなく、現代を謳歌し、身の安全が保障されている

中で、社会主義を叫ぶのは、よほどふざけているようにしか見えません。