大学時代の専攻だったこともあり、
自分でもちょっと考えてみました。
結構難しいです。
通訳者や翻訳者の間でも色々な議論がされていますし、
African American の歴史や社会を研究する人々の間でも議論がされています。
いくつか訳語の候補があったので、少々考察してみたいと思います。
①「黒人の命も大切だ」
なんで「も」なのかは疑問が残る気がします。
「黒人の命も」という表現には、白人が主流の社会と、その社会の中で黒人が隅
にやられているのが前提のように感じられる。
独立宣言には "all men are created equal" とあり、
黒人の命が大切なのは自明のことではないか。
②「黒人の命が大切だ」「黒人の命こそ大切だ」
こんな候補も見つけました。
これだとちょっと、ある種のブラック・ナショナリズムを彷彿とさせます。
他のマイノリティーや白人に対する排他的な響きがしますし・・・。
他にもいくつも候補はあるのでしょうが、私だったら①を取るかな・・・。
「も」には、確かに白人と黒人のある種の優劣が感じられますが、
表現に問題があるのではなく、
そのような優劣を感じさせる社会そのものが悪であり、直視すべき現実なはずです。
そのような現実を変えるための公民権運動でもあったはずです。
その現実に挑み、「も」を使わなくていい社会(黒人と白人が調和した社会)を願う。
このような理由から、
私だったら、「黒人の命も大切だ」を訳語として選ぶかな・・・。