『教育現場は困ってる』(平凡社新書)

小学校英語についての反論】

 私は深く賛同します。

 小学校5年生6年生は英語の授業が必修化されています。

 小学生にアンケートで英語の授業の感想を聞いたところ、

 半分以上が面白いと答えたそうです。

 けれども授業の内容は、ほとんどがゲームみたいなもので、

 「勉強しなくていいから楽しいと答えている可能性が高い」と筆者は指摘します。

 高学年で抽象的な思考ができるようになっている生徒ほど、

 英語のゲームみたいな授業をつまらないと言います。

 教育効果的には、勉強するのはつまらないという生徒に(結果的に)おもねった授業を

 するよりも、生徒を引き上げる方向の授業の方がいいのではないでしょうか。

 

 読み書きの力は下がっています。読解力が下がっているのは言語活動で致命的です。

 読む、つまりは受容する力がないのに何を発信できるのかも、疑問符が付きます。

 

 また、知識は思考を阻害しないとも筆者は主張します。

 知識偏重ということで会話やアクティブラーニングが声高に叫ばれていますが、

 知識がなければ議論は深まりません。

 基本知識が欠落しているがゆえに、

 頓珍漢な主張、あるいは思い付きの内容が後を絶たないとのこと。

 「知識詰め込み型はよくない。アクティブラーニングで議論を深める」という言説に

 は「知識が思考を阻害する」という前提が見えます。

 なせ、知識を得ることが思考を阻害するのか。

 得た知識をもとにすれば正確な洞察が可能になるのではないか。

 

 本当にその通りだと思います。